東京湾を望む高台にある防衛大学校(神奈川県横須賀市)。陸海空の自衛隊幹部を養成する「士官学校」の性格を持ち、戦前の反省から、学校長の多くは民間人が登用されてきた。慶応大学の中国研究者を経て、2012年から今春まで9年間、学校長を務めた国分良成さんもその一人。防大で何を見てきたのか。
――学校長として、日々何を感じてきましたか。
「防大に来る前は、教育というものについて日常的に考えたことが、あまりなかったんです。ところが防大では、毎日毎日、『教育とは何か』『どういう人材を育てるか』という議論の連続でした。20年後、30年後の国と国民を守り抜き、平和を築く。そういう志を持った人間を育てなければならないですから」
1953年生まれ。慶応大学で法学部長、東アジア研究所長などを歴任。専門は現代中国論。著書に「中国政治からみた日中関係」など。
――学生たちは入学した時から志を持っているものですか。
「元々は普通の若者だと思います。国防に関心のある人もいれば、経済的に親孝行したい、という人もいる。『え、自衛隊に行かなくちゃいけないんですか』というのもいます」
「卒業を前にしたある学生に『防大は普通じゃない学校ですよね』と言われました。なぜ、と聞くと『あまりに厳しくて、みんな一度は辞めようと思う学校です。でも、そこを乗り越えるんです』と返ってきました。確かに一般の大学では、そんなことはあり得ないですね」
記事の後半では、安倍政権下で成立した安保法の学生への影響や、今後の日米中の関係について聞きました。
8キロの海上遠泳、最初の関門
――どういうことでしょう。
「防大は、大学であると同時…
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り:2946文字/全文:3538文字
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
銃向けられるか、逡巡する若者も 前学校長がみた防衛大 - 朝日新聞デジタル
Read More
前
No comments:
Post a Comment