旭日小綬章に選ばれたJA群馬中央会の前会長、大沢憲一さん(73)はその人生の大半を農業とともに歩んだ。「農業は食などを提供する使命の担い手」。そうした誇りを胸に、バラ生産農家としても農協幹部としてもリーダーシップを発揮した。その大沢さんに喜びの声を聞いた。
農家の長男に生まれ、後を継ぐことに全く抵抗はなかった。が、昭和41年に県立勢多農林高校(前橋市)を卒業すると、持ち前のチャレンジスピリットに火が付き、渡米を果たした。
19、20歳の2年間、米大学で農業研修を積むとともに、米国をつぶさに観察。そこで見たものはごく一般家庭でもテーブルなどに花を飾る風習だった。
米国の豊かさとともに時代の変化を敏感に感じ取った。高度経済成長を経験していた日本。「これから豊かな時代がやってくる」。帰国後、周囲の猛反対を押し切って生産の主体をそれまでのコメからバラへと大転換した。
以来、バラ生産農家として着実な歩みを進めた。日本の花き市場はキクが強いが、東京など都心部で高級バラの需要が増え、生産量は順調に伸長。「バブルの平成初期には年間36万本を出荷した」
花き農家の連携を図るため全国を飛び回るうち、調整力などのリーダーシップを買われ、JA群馬中央会会長に押し上げられた。
平成26年から令和2年まで大組織を率い、任期中は、米国を除く11カ国が署名した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連法が成立をみるなど、「農家の環境変化への対応を余儀なくされた」と振り返る。
一方、人口減に伴う市場縮小への対応にも乗り出し、花きや上州和牛の輸出など販路拡大に注力。大沢正明前知事に同行してヨーロッパはじめ海外での販売PR活動などにも取り組んだ。危機管理では豚熱(CSF)は発生前からマニュアルを策定するなど先手の危機管理も忘れなかった。
今も毎日畑に出る日々で、農業への情熱はなお健在だ。担い手不足に悩まされる現状を憂慮し、新型コロナウイルス禍の終息を見据えながら自身の経験を伝えていく考えだ。(柳原一哉)
【叙勲】JA群馬中央会の前会長、大沢憲一さん(73歳)農業の環境変化へ指導力 - 産経ニュース
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