果物や野菜の害虫として恐れられる「ミカンコミバエ」が、長崎や福岡県などこれまで飛来していなかった地域で確認されている。35年前に日本国内で根絶が宣言されたが、沖縄県などの一部にその後も飛来しており、温暖化が一因とされる。鹿児島県・奄美大島では2015年に大量発生し、果実が出荷禁止となるなど深刻な事態を招いたこともあり、国や自治体が防除作業に追われている。(林尭志)
長崎県諫早市の山あいの地域で11月中旬、作業着姿の国の職員らが板を木の枝にくくり付ける作業を繰り返していた。薬剤を染み込ませた「誘殺板」の取りつけでハエを防除するものだ。
今年6月以降続く作業で、この日は農林水産省門司植物防疫所福岡支所長崎出張所(長崎市)や県、農協の職員ら約20人で実施した。同出張所管内ではミカンコミバエが確認された地域を中心に、これまでに21万枚を設置した。立ち入りが難しい山中では、ヘリコプターでの投下も行っている。
薬剤は1か月ほどで効き目が弱まるため、同じ場所に再び出向く根気のいる作業だ。秀島和幸出張所長は「ミカンコミバエの雌は、一生に1000個以上の卵を産むと聞く。時間との闘いで何としても繁殖を防がなくてはならない」と語る。
35年前に根絶宣言、害虫ミカンコミバエが九州上陸 - 読売新聞
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