8年前、子ども心に想像した舞台に立った。東京パラリンピックのボートに出場している視覚障害の木村
28日、東京都江東区の海の森水上競技場。木村は、オールをこぎ続けた。混合かじ付きフォアの敗者復活戦、2000メートルで競う。強豪国に差をつけられて5艇中5着でゴールしたが前向きだった。「自分の力を出し切れました」
生後すぐ脳梗塞となった影響で視力は0.1未満、一部の視野は欠けている。筑波大付属視覚特別支援学校(文京区)の小学部4年生だった2013年、20年の五輪の開催地を決めるIOC総会を前に、点字で「パラリンピックオリンピックみんなでひらくぞー!!」と記した同級生と一緒に、東京開催を期待する手紙をIOC委員に送った。「陸上で出たい」と威勢良く話す友達に「私も出る」と続いた。この話題は当時、東京新聞に掲載された。
文京盲学校で転機が訪れる。担任の教諭が東京パラを目指す仲間を探していたクルーの有安諒平(34)=湖猿=と知り合いで、木村を引き合わせた。部活動で陸上や球技をしていて運動神経が良かったからという。20年11月、練習を本格的に開始。コロナ禍で水上で練習できる機会が少なく「オールの使い方を身に付けるのは大変だった」という。競技歴は浅いが、「こぎがダイナミック」と周囲を驚かせた潜在能力が開花。今年6月に推薦枠での日本の出場が決まると、代表入りした。
「パラに出たい」。当時は軽い気持ちだったかもしれない。手紙を送ったことも、最近まで忘れていたくらいだ。だが、実際に参加したら想像以上だった。「競技、国籍にかかわらずコミュニケーションをとるのがすてき。バスの中や食堂でこんにちはとあいさつしています」と大会を存分に楽しんでいる。今大会のレースは29日の順位決定戦が最後。「みんなと力を合わせて、ベストを尽くしたい」とトレーニングで日焼けした顔で意気込んだ。
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「私もパラに出たい」8年前の夢かなう 17歳の木村由<ボート混合かじ付きフォア> - 東京新聞
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