秋までにある衆院選を前にして、菅義偉(すが・よしひで)首相や自民党への逆風が強まっている。新型コロナウイルスワクチンの供給不足に対する不安が広がる中、酒類提供停止に応じない飲食店に「金融機関を通じて働きかける」とする西村康稔経済再生担当相の発言が追い打ちをかけた。報道各社の世論調査で内閣支持率は下落傾向にあり、自民内には早期の内閣改造を求める声も出ている。(今仲信博)
「ワクチン接種が国民に理解されていない」
自民の佐藤勉総務会長は13日の記者会見で、支持率下落の要因について、こう説明した。
ワクチン接種は、政府の想定を超えるスピードで広がった結果、供給が遅れている。党内には、ワクチンは首相が切り札と位置付け国民の期待値が高いだけに、かえって失望につながっているという危機感がある。
同日、党本部で開かれた新型コロナのワクチンプロジェクトチーム(PT)などの合同会議では、出席者から「混乱しているようにみえる」「政府は丁寧に説明してほしい」などと政府への注文が相次いだ。
一方、酒類提供停止に応じない飲食店をめぐっては、西村氏は9日に金融機関に対する働きかけの要請を撤回。ただ、政府は酒類の卸売業者に問題のある飲食店との取引停止も求めたため、批判は収まらなかった。
自民の有志議員による「街の酒屋さんを守る国会議員の会」は13日、国会内で緊急総会を開いた。会長を務める田中和徳前復興相は「早々に西村氏からおわびや訂正があったが、決して業界の方が『腑に落ちた』という返事はうかがっていない」と語った。
議連の意見を踏まえ、田中氏は党本部で下村博文政調会長と面会し、科学的知見に基づいた酒類提供が可能なルールの策定や、全国の酒類販売事業者への財政的支援を求める緊急要望書を提出した。
23日に開会式を迎える東京五輪で、大半の競技が無観客となることが直前になるまで決まらないなど、最近の政府の対応には後手感が漂っている。安倍晋三前首相は11日に北海道苫小牧市で講演し、4日投開票の東京都議選で自民が伸び悩んだことに触れ「厳しい風が吹いている」と強調した。
自民ベテランは「内閣改造・党役員人事を断行して人心を一新するぐらいしか策がないのではないか」と語気を強めた。
衆院選を前に自民に「逆風」 ワクチン、西村氏発言、五輪 - 産経ニュース
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