新型コロナウイルスの感染対策として、東京都の小池百合子都知事が立ち入り自粛を呼びかけるなど、批判の的となった「夜の街」。風俗店では客と隣席し、ボディタッチをするなど「三つの密」の行為が避けられないため、コロナ禍においては、不利なサービス形態と言わざるを得ない。
そんな風俗業界が生き残る術はあるのだろうか。30年以上、新宿・歌舞伎町を「定点観測」してきた風俗ライター・羽田翔氏の『歌舞伎町コロナ戦記』(飛鳥新社)から一部抜粋して、コロナ禍の風俗業界の裏側について紹介する。
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2020年7月20日 札幌・すすきののクラスター
なぜ「おっぱいパブ」はクラスターを発生させるのか
世間にインパクトを与えた札幌・ススキノの「キャバクラ」で発生したクラスター。客ひとりを含む12人が感染し、そのほか多数の濃厚接触者にも感染の疑いがもたれるなど、道民に恐怖を与えている。
世間的には「また、キャバクラか」という声も大きそうだが、今回、筆者は実際の業態と世間が思うイメージのギャップに、いささかの関心をもった。
それは、クラスターが発生した店が「キスや密着があるキャバクラ」と報道されたことだ。
遊び好きの男性なら、「それって、“キャバ”じゃなく“おっパブ”じゃん!」と思ったことであろう。しかし、である。風俗通が理屈をこねれば、ことススキノにおいてはキャバクラ=おっパブであって、当該店がキャバクラと報じられることは間違いではないのだ。「じゃあ、(本当の)キャバクラは?」となるが、この場合、当地ではニュークラブという呼び方になる。まず、このローカルルールがややこしかった。
それとは別に週刊誌系やネット記事はともかく、天下の大マスコミ、新聞・テレビがおっパブの詳細を伝えることなどできなかったらしく、単に「キスや密着があるキャバクラ」と伝えた。つまり、本来のキャバクラの姿とは違って報じられたことで、風俗などに関心がないフツーの人たちに、「キャバクラってキスや密着ができるの?」と思わせてしまった可能性があるのだ。
いまひとつ、基本的なことだが、今回ネットニュースなどで“おっパブ”というワードを聞いた人のなかには、「そもそもおっパブとは?」というムキも少なくなかったのではないか。簡単ではあるが、そのスタイルと「コロナ禍におけるリスク」を解説しておこう。
いわゆるキャバクラとの最大の違いは、おっパブの場合、女性キャストは客により密着して接客をした上、1時間に数回程度の割合で“サービス”を行う。地方によって、呼び名や過激さは変化するが、オーソドックスのものはキャストが上半身裸になり(あるいは、はだけた状態)、客の男性におっぱいを揉ませる。店にもよるが、そのときキスも可能であり、なかにはおっぱいを吸わせるコもいる。今回の店ではキスもサービスに含まれていたようだ。
「前の客が舐めた乳首をそのまま口に含むことに…」風俗ライターが見たコロナ禍の歌舞伎町の“微妙”な変化 - 文春オンライン
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