4月、子どもが兵庫県立高校に入学したという保護者から「任意加入のPTA会費が、学校経費と一括で徴収されるのはおかしい」との疑問が神戸新聞社の双方向報道「スクープラボ」に寄せられた。近年、PTAへの「自動加入」が問題になり、事前の同意を徹底する学校が増えている。実態を調べた。(斉藤絵美)
この保護者によると、入学前の3月末に開かれた説明会で、PTA会費(入会金千円、4月分700円)を含め入学料や生徒会費など総額4万円を一括で納めるよう求められた。
4月初旬に子どもに全額を持たせ、納入したが、疑問は消えないという。
この高校に取材した。事務長によると、後日、PTAや同窓会などの加入に関する「同意書」を配っており、加入しない生徒には返金する予定だったという。
保護者は「返金という説明はなかった。意向を聞く前に会費を集める手法は理解できない」と憤る。
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子どもが神戸市内の県立高校に入学した別の保護者に聞くと、同じく入学金などと一緒にPTA会費もまとめて支払うよう指示されていた。加入について「任意」という説明もなく、会費を断る選択肢はなかったという。会費は年間7千円だった。
PTAは、保護者と教員が協力してよりよい教育を目指す団体。役員は学校行事や地域の催しを手伝うなど負担は大きい。加入は任意だが、入学と同時に自動的に加入させられることが多い実態を問題視する声が出ている。
神戸市教育委員会は今春から、市内の幼小中高校、特別支援学校の全校園が給食費などと一括でPTA会費を徴収する場合、保護者から事前に了承を得るよう義務づけた。昨年8月の調査では、約7割の学校園が同意書を取っておらず、苦情が寄せられていた。
同意を徹底すれば加入率はさらに下がる可能性があるが、神戸市教委は「同意を取らないと、個人情報保護法違反で学校やPTA会長が訴えられる可能性もある。入ってよかったというPTA活動にしてもらいたい」としている。
一方、県教委は「対応は各学校に任せており、一括徴収の実態は把握していない」とする。担当者は「銀行口座など個人情報を任意団体に渡したくない保護者もおり、PTAから依頼を受けて学校が会費を集めるケースは多い」と話す。
徴収方法について「教育委員会は任意団体を指導する立場にない」としながら、問題視する声があることには「どんな活動に使うのか、丁寧に説明する必要はある」と改善を求めている。
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任意加入のはずが…入学前にPTA会費の全員徴収「意向聞く前の集金は理解できない」 - 神戸新聞
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