コロナ禍で帰省や旅行が自粛されているとはいえ、蜜を防げるクルマでの移動が多くなる、ゴールデンウィークがもうすぐやってくる。
2020年のゴールデンウィーク中(2020年4月29日~2020年5月6日)に、JAFに寄せられたロードサービスの出動理由を見ると、1位は1万6813件で全体の43.45%を占める過放電バッテリー(バッテリーあがり)、続いて第2位は6268件で全体の16.2%を占めるタイヤトラブル(タイヤのパンク、バースト、空気圧不足)、第3位の破損/劣化バッテリーは2548件、全体の6.58%。1位と3位のバッテリートラブルを合わせると全体の5割を超える。
タイヤとバッテリーのトラブルで全体の約7割近くを占めているのだ。そこで、GWに出かけるという方は、ぜひロングドライブの前に、タイヤとバッテリーのトラブルを防ぐために、必ずチェックしてほしい!
文/鈴木伸一
写真/ベストカーweb編集部 Adobe Stock(トビラ写真:Songkhla Studio@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】バッテリーの規格と保証期間、バッテリーを疲弊させるモノの消費電力をチェック!
15項目の点検項目があるのを知っていますか?
JAFが公表しているロードサービス出動理由TOP3の1位は「バッテリー上がり」。以降2位「タイヤのパンク」、3位「キーとじ込み」と続くが、凡ミスが原因の「キー閉じ込め」以外、「運行前点検」を行っていれば防げるものばかりだ。
「運行前点検」とは日々の安全を確保するためにユーザーの義務として法令で定められている点検のことで、事業用自動車等のユーザーには「運行の開始前に1日1回」、マイカーユーザーにおいては「走行距離や運行時の状態などから判断した適切な時期に実施」とされている。つまり、本来ユーザー自身行うべきものだ。
点検項目は以下の通り。
1/ブレーキ液の量
2/冷却水の量
3/エンジンオイルの量
4/バッテリー液の量
5/ウインドウォッシャー液の量
6/ランプ類の点灯・点滅
7/タイヤの亀裂・損傷の有無
8/タイヤの空気圧
9/タイヤの溝の深さ
10/エンジンのかかり具合・イオン
11/ウインドウォッシャー液の噴射状態
12/ワイパーの拭き取り能力
13/ブレーキの踏み残りしろと効き具合
14/駐車ブレーキの引きしろ(踏みしろ)
15/エンジンの低速・加速状態
上に挙げたの15項目。目視確認が主体の一般ユーザーにも無理なく実施可能な内容となっている。近年のクルマは「耐久性が格段に向上して壊れにくくなった」とはいえ、クルマはあくまで機械モノ。
油断していると突然のトラブルに見舞われるので要注意! メカに自信がなければ行きつけのディーラーや整備工場等のプロに依頼して点検箇所や方法をレクチャーしてもらうなどして、自分自身で行えるようにしておきたい。
また、長距離ドライブを予定しているならすべては無理として出動理由トップ1、2の「バッテリー」と「タイヤ」の点検くらいは、出発前にキッチリ行いたい。
CHECK1 バッテリー:トラブルが一番多いバッテリーを必ずチェックすべし!
車載されているバッテリーは、携帯端末等に利用されている2次電池(充電を行うことによって繰り返し使用できる電池)と同様、電気を使っていない状況でも、自己放電によって時間の経過と共に徐々に蓄電量が減ってくる。
それでもエンジンが回っているときは常に充電されている状態となるため、日常的に走らせていれば減った分も補充され、問題なく使うことができる。が、もしもクルマを動かすのは月に1度など、走らせることなく駐車したままの期間が長くなると「バッテリーあがり」を起こしやすくなる。
このような使用状況で、もしも「バッテリーあがり」の徴候が見られたときは「補充電」が必要だ。走ることでも充電されるが、上がり気味の状態で1~2時間走らせたところで完全には回復しない。専用の充電器を入手するか、整備工場等に「補充電」を依頼する必要があるので注意したい。
なお、「バッテリーあがり」にも段階があり、初期にはセルが回る勢いが弱まり、息をつく(瞬間的に止まったようになる)ようになる。この段階なら、なんとかエンジンは始動できるが、油断は禁物! そのままにしておくとじきに「クゥー、クゥー」と明らかに回りが遅くなってくるからだ。
そして、そんな回りが弱々しい状態で、エンジンがかからないからといってセルを回し続けるのは厳禁。引導を渡すことになり、完全に上がってしまうからだ。
もしもこのような状態に陥ってしまったときは、2~3回セルを回したら30秒ほど待ち、再度挑戦してみる。時間を置くことでバッテリーの起電力が回復するからで、うまくすれば何回か繰り返すうちに「ブルッ」といったかかる兆候が現われる。そうなったら一息入れて再度慎重にキーを回してやりたい。
これらに挑戦したものの始動できずに何の反応も示さなくなったり、「カチッカチッカチッ」といった連続した金属音を発するようになったなら、バッテリー上がりは確実! バッテリーを取り外して近くのガソリンスタンドまで持っていって充電してもらうか、ブースターケーブルで他車から電気を分けてもらうしかない。
さて、バッテリーには寿命があり、寿命末期にはやはり上がりやすくなる。初回車検が3年に延長されて以降、寿命は確実に延びて3年は余裕で使え、コンディションがよければ5年はもつ。が、3年を超えたらバッテリーあがりの徴候の有無に注意したい。なお、バッテリーに負担のかかるアイドリングストップ車は2年超えたら要注意だ。
そのコンディションを崩す要因のトップが「液量の不足」。車載バッテリーは極板の材質に鉛を利用した「鉛バッテリー」と呼ばれるタイプで、電解液(バッテリー液)として希硫酸が注入されている。
この電解液中の水分が、満充電に近づいて余った充電電流によって電解液中されてしまうため、使用していると徐々に液量が減少してくる。このため、液量の点検と補充が必須なのだ。
このような水の補給を軽減、あるいは不要としたバッテリーが「MF(メンテナンスフリー)バッテリー」と呼ばれるタイプで、バッテリー液の注入口が塞がれている「完全密閉型」の場合、液の補充が不要というか、減少してしまったときはバッテリー自体の寿命となる。
しかし、MFバッテリーでも純正品としての採用が多い液詮が外れる「半密閉型」だと、バッテリー液は確実に減少する。従来バッテリーに比較すればはるかに少ないものの、液が減ったまま放っておけば寿命を縮めることになるので注意! 月に1度くらいは液量をチェックしたい。
その液量のチェックはバッテリーケースの側面に表示されている液面ライン(上限:UPPER/下限:LOWER)面から内部を透かし見ることで行う。このライン間に液面があれば基本的にOKだが、セル(6つに分かれている部屋を指す言葉で、1セルで2Vを発生する)によるバラつきがあったり、LOWERレベル間近まで減少していたら各セルのUPPERレベルまで「蒸留水」を均等に補充しておく。
なお、バッテリーケースが黒色等、不透過樹脂で内部の液量が見えないタイプだったら液量のチェックは基本的に不要。このタイプの場合、コンディションを確認できるインジケーター(透明の丸い栓)がケース上面に装備されているので、表示を確認(内部の見え方によって良好/要充電/交換が判断できる)を確認する。
また、「半密閉型」でインジケーターが装着されていたなら、まずはこれによってコンディションを確認(良好/液不足/要充電が判断できる)したい。
液量のチェックの次に重要となってくるのが、「バッテリーターミナル(ケーブル端子)」の取り付け状態だ。セルモーターの回転時、バッテリーケーブルには100Aを越える高電流が流れるため、この「バッテリーターミナル」の取り付けが緩んでいるだけでセルの回りは悪くなる。「バッテリーターミナル」を指でつまんで左右にこじってみて、もしも多少でもグラ付くようなら要注意! 固定ナットをキッチリ増し締めしておきたい。
次ページは : CHECK2 タイヤ/出発前に空気圧のチェックは行いたい
GW直前! うっかりトラブルを防ぐロングドライブ前の2つの簡単チェック! - ベストカーWeb
Read More
前
No comments:
Post a Comment