被災地への思いを胸に果たした快挙だった。十一日、米ジョージア州で行われた男子ゴルフのマスターズ・トーナメント最終日で、松山英樹選手(29)が初優勝を飾った。日本人男子初のメジャー大会制覇の原点には、十年前に受けた激励があった。
オーガスタの西日に照らされ、松山選手の目が潤んでいた。優勝直後のテレビ中継のインタビュー。「十年前、ここに来させてもらって自分は変わることができた。背中を押してくれた人たちにいい報告ができます」。優勝者に与えられるグリーンジャケットに袖を通し、胸を張った。
十年前の二〇一一年三月十一日。東北福祉大一年生だった松山選手はオーストラリアで合宿中だった。その前年にアジア・アマチュア選手権を制してマスターズへの出場権を獲得。初の大舞台に向けて練習していたところに飛び込んできたのが、東日本大震災のニュースだった。
伝え聞く被害の甚大さ。当初は「このまま出てもいいのだろうか」と出場辞退も考えた。後押ししたのは手元に届いた激励の数々。合宿から帰国した際、メディアに悩みを打ち明けるとメールや電話、ファクスが大学に殺到した。「こんなに応援してもらっているのか」。食事ものどを通ら...
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10年前の激励に応えた 松山選手マスターズV - 中日新聞
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