国土交通省の調査で全国1万か所を超えると判明した危険なバス停の安全対策が本格化している。横浜市では、約20年前に起きた子どもの死亡事故に心を痛めた住民男性が、バス停拡幅のために土地を提供した。赤羽国交相は30日の閣議後記者会見で、安全対策の
■死角減る
横浜市保土ヶ谷区の住宅街の一角。中央線のない市道沿いにあるバス停「新井小学校下」に、バス専用の停車スペース「バスベイ」が完成し、2月19日から運用が始まった。
バス停は近くに横断歩道などがあり、国交省の調査で危険度が2番目の「B」とされた。バスベイは、バス車体で生じる死角を減らせるため、このバス停は今後、対策済みと判断される可能性が高い。買い物で利用する近くの男性(70)は「お年寄りが多い地域なので、ありがたい」と話した。
■目の前で
バスベイ用地として、自宅の土地約50平方メートルを市へ売却したのが、植木職人の久保田重雄さん(65)だ。2019年秋、道路を管理する市などから要請を受け、同じ植木職人だった父親が手がけた庭の一部を提供した。要請に応じたのは、自宅前で約20年前に起きた事故のことが頭から離れなかったからだという。
1999年5月6日朝、「子どもがはねられた」と声が聞こえて自宅を出ると、路上に小学5年の男児(当時11歳)が倒れ、はねた車は逃走していた。男児に声をかけたが反応はなく、近くにいた少年が青ざめた顔で「僕の弟です」とつぶやいた。車を運転していた男は逮捕されたが、男児は死亡が確認された。久保田さんは「できることはないかと思い続けてきた。バスぐらいは危険なく待てる地域にしたい」と語る。
■移設、廃止
横浜市は、18年にバス停付近で起きた小学5年の女児の死亡事故を受け、国の調査と並行して、「新井小学校下」を含む危険度が高い14か所の対策を実施。2月までに移設や横断歩道の移転などを終えた。
東京都は1月末、Aランク20か所のうち、板橋区にあった1か所を廃止。2月には、Cランクだった江戸川区のバス停を約75メートル先の寺の前に承諾を得て移設するなどB、Cランクの対策も進める。長野運輸支局は今月26日、Aランク(52か所)の16か所で移設やバスの停車位置の変更などを行ったと公表した。
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赤羽国交相は閣議後記者会見で「移設など地域の合意形成に向けた協力や安全対策の指導、助言にしっかり取り組みたい」とした。
「危険なくバス待てる地域に」自宅前で小5男児が事故死、停車場に土地提供 - 読売新聞
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