政治や事件などを題材に、社会情勢を笑いに変えるコント集団「ザ・ニュースペーパー」が、首相交代に伴い、新たな風刺に挑んでいる。官房長官時代から9年近く前首相の菅義偉氏にちなむ「スガ」を演じてきた山本天心は「学術会議問題から長男の接待問題、ワクチン、五輪と、ネタの宝庫でありがたかった」と“感謝”。岸田文雄首相をまねた「キシダ」を務める浜田太一は「特徴がなく悩んでいるので、国民である観客の声を聞きながらキャラクターを作り上げます」と、口癖を使って“公約”する。
ニュース-は1988年結成で、現在は10人が在籍。当初は政治家をネタにするのがタブーのような時代だったが、「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉純一郎氏の登場で政治がワイドショー化したという。「政権中枢になりきって演じながらも彼らの考え方には取り込まれず、それを笑い飛ばすのがうちの集団の使命」と山本は微妙な距離感に触れる。
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「就任前、お客さんからも関心を持たれない、地味な存在だった」とスガを演じる山本。カツラの分け目の方向が本人とは逆なのに、就任前はほとんど気付いてくれないくらいだった。
就任直後は“庶民派首相”と期待されて高支持率で「舞台に出るだけで“ウワー”と盛り上がった」が、学術会議など問題が起こるたびに支持率も低下。「問題に合わせて新ネタを考えるのが大変なくらいだった。だんだん観客も冷たい態度になり、退任前は『何しに来たの』と出づらい感じにさえなった」と国民の変貌ぶりを振り返る。
岸田首相が当初から原稿を見ないで話すのに衝撃を受け、「人に伝わる話し方というのはああいうものだな。すごい」と山本。「国民の声ではなく、自民党の力学で首相になったので、長続きしなかったのかな」と感じる。
ワクチン効果もあり、コロナ感染者数減となったことから「辞めなきゃ良かったという思いと、本来は表に出る人ではないので、肩の荷が下りた、という両方があると思う」と推測。「会話が下手なので、これからは話し方教室に通いたい。得意な裏方の仕事を探しています」と笑わせる。
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「首相就任前まではほとんど演じる機会がないほど存在感が薄かった」とキシダ役の浜田。役作りに取りあえず眼鏡をかけ、「周囲の声を聞き、まずは『付け鼻』をしてみました」と早速“民意”を反映させた。
岸田首相について「頭がいい人。大臣に知名度の低い人を選んだのは作戦で、自分を目立たせたいからだと思う」としながら、「いい人すぎるので、これから出て来る陰の面も表現したい」と浜田。山本は「首相はリベラルなのに、党の重役は保守で固められてる。自分の色を出せるのか、そうでないのかが、笑いのネタになるはず」と今後を注視する。
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公演は1月15日、サンケイホールブリーゼ(大阪市北区)である。2人は「最新の政治ネタをコントに反映させたいので、内容は当日のお楽しみ」と話す。午後2時開演。4200~6千円。ブリーゼチケットセンターTEL06・6341・8888(金井恒幸)
首相、前首相を風刺 コント集団「ザ・ニュースペーパー」 来年1月大阪で公演 - 神戸新聞
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