バイデン米大統領はアフガニスタン駐留米軍の撤収完了を受けた8月31日の国民向け演説で、撤収をめぐる責任は「全て私にある」と述べつつ、米民間人やアフガン人協力者退避作戦を含む撤収の際の混乱をめぐっては、トランプ前政権やアフガン国軍に責任転嫁する姿勢が目立った。多数の米国民らを置き去りにした退避作戦を「大成功」と言い切るなど自己正当化が目立ったバイデン氏の態度は批判を浴びそうだ。
米軍が撤収活動を本格化させた後、イスラム教原理主義勢力タリバンは急速に勢力を拡大させ、8月15日に首都カブールを陥落させた。バイデン氏はその要因として、前政権とタリバンが昨年2月末に結んだ和平合意の問題を指摘した。
合意は今年5月1日までの米軍撤収を明記。刑務所に収監されているタリバンの野戦司令官や戦闘員ら5千人の釈放を容認した。
バイデン氏は、野戦司令官や戦闘員らがタリバンに復帰したせいで勢力を回復し、自身が今年1月に大統領に就任した頃には「タリバンは「(米同時中枢テロがあった)2001年以降で最強の戦闘力を確保していた」と語った。
バイデン氏はまた、タリバンは和平合意に基づき、当初の撤収期限の5月1日までは米軍への攻撃の自制に応じたものの、駐留が長引けば戦闘再開は必至だったと説明。自らが「撤収するか、(戦闘を)拡大させるかの選択を迫られた」とし、米国が不利な立場に追いやられた責任は前政権にあると主張した。
だが、軍事専門家の間では、バイデン氏がオバマ元政権当時からの懸案であった撤収方針に固執し、トランプ前政権下での和平合意を奇貨に撤収を既成事実化させたとの批判も強い。
一方、バイデン氏は演説で、「米軍の撤収期間中にアフガン政府が持ちこたえるとの予測は正確でなかった」「アフガン治安部隊が誰の予想よりも早く崩壊した」と述べ、アフガン政府が撤収を混乱に陥れたとの見方を示した。
だが、アフガン問題に詳しい元政府高官は「アフガン国軍の作戦行動は、米軍による空爆支援と、米軍が提供する最新兵器に支えられていた」と指摘。このため米軍撤収に伴い空爆支援が途絶えれば、国軍が総崩れになるのは目に見えていたとし、「バイデン氏がアフガン国軍を批判するのはお門違いだ」と断じた。(ワシントン 黒瀬悦成)
前政権に「責任転嫁」 バイデン大統領、目立つ自己正当化 - 産経ニュース
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